翌朝、李俊瑞(イ・ジュンソ)が倉庫帳簿を開いたとき、最初に目に入ったのは墨ではなく、紙の裂け目だった。
在庫表の右端が不自然に欠けている。日付と品名は残っていたが、肝心の残数欄だけが消えていた。傷薬、止血布、乾燥薬草の列は無事だ。破られた跡は、活血丹と霊薬のあたりにだけ集中している。
小平(ソピョン)が鍵束を抱えたまま青ざめた。
「お、俺じゃないぞ。昨日は戸を閉めて、鍵もここに……」
「分かっています」
俊瑞は声を荒らげなかった。裂けた端を指で押さえ、残った墨の位置と昨日の最終確認時刻だけを別紙へ写す。騒げば、隠した者に次の動きを教えるだけだ。
「今日の分は、残った棚と実数で始めます。空欄は空欄のまま記録する。後で埋めようとしない」
小平は唇を噛み、うなずいた。
その半刻後、俊瑞は韓白林(ハン・ベクリム)の許可状を持って練武場へ向かった。門主の印は、厚い木板の上で乾いたばかりの墨より重く見えた。
練武場の端、以前に割られた修練表の跡へ、新しい規定板が立てられた。もう捨て板ではない。倉庫の古い棚板を削り直し、上辺に鉄釘を二本打ったものだった。
板には大きく書かれていた。
新入りと末端弟子は全員、基礎功、歩法、対練、回復確認の順に修練すること。基礎功で呼吸が乱れ、歩法で足幅が崩れ、対練後の負傷確認を怠った者は、高級招式に入らないこと。招式の申請は、三日の出席、二日の負傷なし、対練相手の確認印を満たしてから行うこと。薬材は倉庫出納表、医薬堂処置表、受領者名の三つを揃えて出すこと。
最後に、外堂運営権に基づく門主の許可印が記されていた。
「高級招式、しばらく触れないってことか?」
末端の一人が小声で言った。落胆より戸惑いが強い声だった。別の弟子が板を指でなぞる。
「でも、基準を超えたら申請できるんだろ。今までみたいに、誰かの機嫌で順番を飛ばされない」
その言葉が練武場の端へ静かに広がった。水桶を持つだけだった者たちが、自分の名を書く場所を初めて見つけた顔をしていた。
俊瑞は郭進(クァク・ジン)へ薄い帳面を渡した。
「出席表です。名、時刻、途中退場、負傷の有無。左腕で支えない。台に置いて書いてください」
郭進は吊った腕を見下ろし、右手で受け取った。
「俺が、皆の出席を?」
「峡谷で後ろの道を見ていました。人がどこにいるかを見る目があります」
郭進は返事の代わりに、最初の欄へ自分の名を書いた。筆先は少し震えたが、線は最後まで切れなかった。
小平には倉庫前の板が任された。品名、現在数、出庫時刻、受領者、理由。鍵束を持つ手はまだ硬かったが、彼は今朝の裂け目を思い出したのか、活血丹の棚の前でいつもより長く数えた。
「数が合わなかったら?」
「合わないと書く。合ったふりをするよりましです」
「また俺が疑われるだろ」
「記録があれば、最後に見た者だけの責任にはなりません」
小平は鼻から息を吐き、乱暴にうなずいた。
昼前には、練武場の空気が少し変わっていた。基礎功の列に、今まで端で見ているだけだった弟子が二人加わった。歩法の線を踏み外した者は笑われたが、郭進が帳面に「三歩目で崩れ」と書くと、笑い声はすぐに弱くなった。
失敗が嘲りではなく、次に直す場所として残る。その単純な変化に、末端弟子たちは戸惑いながらも目をそらさなかった。
だが、内堂の兄弟子たちが来ると、そのざわめきは別の色へ変わった。
趙傑(チョ・ゴル)は腰の剣をわざと鳴らし、規定板の前で足を止めた。後ろには内堂の若い弟子が三人いる。彼らの武服は外堂の粗布より新しく、袖口も汚れていない。
「剣を握る武林人が、帳簿を眺めて強くなるそうだ」
趙傑が笑った。
「次は敵に出席印でも求めるのか。今日は基礎功を済ませたので、斬らないでくださいとな」
内堂の弟子たちが声を立てた。末端の列がわずかに縮む。郭進の筆が止まり、小平が倉庫前から顔を出した。
俊瑞は規定板の前に立ったまま、韓白林の許可状を掲げた。
「敵には求めません。門内の修練順を決めるだけです」
「俺たち内堂にも命じる気か」
「外堂の規定です。内堂の修練を縛るものではありません。ただし、外堂の新入りを連れ出して高級招式を教えるなら、出席と負傷の記録に残します」
趙傑の目が細くなった。
「俺が誰を鍛えるかまで、お前が書くのか」
「誰が、いつ、何をして、どこを痛めたかを書きます。鍛えた事実を消す必要がないなら、困らないはずです」
空気が冷えた。趙傑は一歩踏み出しかけたが、大殿の方から韓白林の侍者が通りかかるのを見て、舌打ちだけを残した。
「せいぜい紙を守れ。紙は剣を受けない」
「扉は受けました」
小さな声だった。言ったのは郭進だった。自分でも驚いたように口を閉じたが、南宮世琳(ナムグン・セリン)が端で短く笑い、都賢九(ト・ヒョング)が肩をすぼめながらもうなずいた。趙傑の顔が一瞬歪み、内堂の弟子たちは笑いどころを失ったまま立ち去った。
初日の修練は、派手ではなかった。基礎功で膝を崩した者が三人。歩法で足首をひねりかけた者が一人。対練中に木剣を強く握りすぎて掌を裂いた者が二人。
小平は薬材を出すたびに理由を書き、郭進は退場時刻を記した。俊瑞はその横で、どの列が詰まり、どの確認が遅れたかを別紙へ写していった。
夕暮れには、外堂の小部屋に帳面が四冊積まれていた。出席表、負傷表、倉庫出納表、修練進度表。紙は薄く、墨も安物だ。それでも、今日一日で誰がどこに立ち、誰が何を恐れ、どこで足が止まったのかは残った。
夜が更け、弟子たちが宿舎へ戻ってから、俊瑞は倉庫帳簿をもう一度開いた。
朝に写した裂け目を、残った別の在庫表と照らす。破られた位置は偶然ではなかった。傷薬の残数欄は避けられ、止血布の列も避けられている。活血丹の最後の数と、霊薬の残数だけが、切り取られるように消えていた。
『薬の不足ではない。消えた数を見せたくないんだ』
俊瑞は筆を置いた。前世の工場で、廃棄ロットの記録だけが抜けていた夜を思い出す。数字が消える時は、たいてい物も消えている。そして、物を消した者は、次に手順そのものを消しに来る。
その時だった。
倉庫の裏手で、木をこする低い音がした。
ぎり、ぎり、と釘が少しずつ抜かれる音。夜風で戸が鳴る音ではない。誰かが板を剥がしている。
俊瑞は灯りを手で覆い、外へ出た。月明かりの下、倉庫前に掲げたばかりの規定板が斜めに浮いていた。その下で、灰色の武服の男が釘抜きを差し込んでいる。
閔光(ミン・グァン)の弟子、陳武(チン・ム)だった。
陳武が振り返るより早く、彼の懐から白い紙片が滑りかけた。破れ端には、墨の半字が残っている。
霊――。
俊瑞は声を落とした。
「その紙を、どこで拾いましたか」
陳武の手が止まった。次の瞬間、規定板を留めていた二本目の釘が、暗い土の上へ乾いた音を立てて落ちた。
剣気より業務マニュアル 下級武人になった大企業代理、帳簿一冊で長老を裁く
12話 公開評価と青絹の令牌
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