翌朝、名前を読み上げた声は、郡庁舎の会議室へ移っている。
町長の椅子は空のままだ。壇上の中央に置かれた高い椅子には誰も座らず、マイクだけが雨の湿気を吸って鈍く光る。エヴァン・プライスの肖像写真は壁から外され、そこだけ白く四角い跡が残っている。住民たちは長机の前に詰めて座り、立つ者は壁際に並ぶ。保安官代理の制服は一着もない。代わりに州警察の防水ジャケットと、郡検察の黒いファイルが入口をふさいでいる。
進行役に立ったのはディナだった。声はまだ少し掠れている。けれど、昨日までのように許しを請う声ではない。
「最初に、来月の郡行政について決めます。誰かが上から持ってくる名前を待つのではなく、ここにいる人間で決めます」
誰も拍手しない。反対の声も出ない。長い沈黙が、同意の形で床に落ちる。
グラディスが前へ出る。小柄な体に古い書類鞄は大きすぎる。彼女は机の上へ死亡診断書の写しを一枚ずつ置いていく。貼り付けた医師署名。青いインクでなぞった偽の署名。郡病院の外来受付記録。更生命令書。紙は湿気で少し反り、蛍光灯の下で薄く波打つ。
「これが、本物に見せたものです。これが、別の列から貼ったもの。ここに端末番号があります。保健局文書処理室。発行時刻は、ここ」
彼女の指が止まる。
午前二時四分。
同じ数字が七行並ぶ。死亡欄だけが開き、死因欄は空白で、医師署名は貼り付けられている。住民の何人かは顔を上げられない。別の男は、紙の一行にある兄の名を見つけたまま、まばたきもせずに固まる。後ろの席の女は、自分の母の名の前で長く止まり、口元を手で押さえる。
ディナは急がせない。昨日までの町は、見ないふりを急がせることで成り立っていた。今日は誰も、それを急がせない。
「私たちは知っていたのか」
壁際から老人が言う。責める相手を探す声ではない。自分の胸に置いた石を、ようやく言葉にした声だ。
グラディスは顔を上げる。
「全部は知らなかった。でも、見たものはありました。私は黙っていました」
「私もよ」
ディナが続ける。「トミーの紙を握って、窓口で泣くだけだった。隣の人の紙を見ないようにしてた」
誰かが椅子を引く音を立てる。強くない。逃げる音でもない。立ったのは教会側の食料品店の店主だった。
「じゃあ、これからは見ます。帳簿も、契約も、バンの出入りも。誰が町長代理になるかより、まず私たち全員にすべてを見せることを決めましょう」
そこで初めて、会議室に小さなざわめきが広がる。州が暫定管理官を派遣するまで、郡の窓口を誰が開け、保健局の鍵を誰が預かり、リハビリセンター跡の名簿を誰が読むのか。ディナ、グラディス、教会側の店主、郡病院の看護師、退職した郵便局員。名前が出るたび、誰かがうなずき、誰かが疑い、誰かが質問する。
ドギョムは会議室にいない。
彼は崩れかけた教会の地下室の入口に立っている。昼を過ぎても雨は細く残り、焼けた木材と濡れた土の匂いが混ざっている。祭壇脇の床板は開け放たれ、昨日まで証拠と負傷者を隠した穴は、今は州警察の黄色いテープで囲まれている。
黒い防水ジャケットの捜査官が二人、階段の前で足を止める。片方は中年の女で、もう片方は若い男だ。どちらも銃より先に手帳を見せる。
「州警察汚職捜査課。あなたから正式な供述を取りたい」
女の捜査官が言う。「証人保護の選択肢もあります。郡検察も、あなたの証言が必要だと考えています」
ドギョムは彼女の手帳を見る。次に、階段の下に残った血の跡、壁に立てかけられた壊れた椅子、隅に置かれた古い受信機を見る。
「フィントンが話す」
「彼の供述だけでは足りません。ラウク、プライス、マローンを一本にするには、あなたがどこで何を見たかが要る」
「見たものは紙にある」
若い捜査官が口を開きかける。女の捜査官がそれを止める。彼女はドギョムの顔ではなく、肩の動かなさ、濡れた外套の内側、何も求めない立ち方を見る。
「記者もあなたを探しています。名前を」
その言葉の意味は、町の反対側で形になっている。サンセット・モーター・インのカウンターでは、皺だらけの老人が若い記者に詰め寄られている。名簿はないのか、七号室の男は何と名乗ったのか、カードは使ったのか。老人は小型テレビの音量を上げ、「泊まった男は雨みたいな顔だった」とだけ言う。
食料品店の店主にも、焼け跡のヘナにも、学校の事務員にも、同じ質問が投げられる。韓国系の元軍人。黒髪。軍用外套。名前は。どこから来た。どこへ行く。誰も答えない。知らない者は知らないまま黙り、知っている者は知らないふりを選ぶ。
ドギョムは捜査官から差し出された書類を受け取らない。代わりに、外套の内側から一枚の紙を出す。フィントンが作成した供述書の写しだ。保健局印影、署名欄元画像、午前二時四分の操作、D-3爆薬設置図への関与が記され、端に郡検察の受領印がある。
彼はその写しを二つに折り、さらにもう一度折って外套の内側へ戻す。
「必要なら、紙が話す」
「あなたは?」
「俺は残らない」
女の捜査官はしばらく黙る。強制するだけの材料はあるはずだ。護送車両、負傷した保安官代理、D-3で壊された男たち。だがそのどれも、今ここで手錠をかけるには、町の壁に貼られた新しい名前の重さに負けている。
夕方、ドギョムは郡留置場の面会室へ入る。
ガラスの向こうにカール・ラウクが座っている。右手の指は厚く固定され、膝は金属の支具で固められている。顔は腫れているが、目だけはまだ記録を読む男の目だ。面会室には録音機があり、天井にはカメラがある。州警察の捜査官が壁際に立つ。
ラウクは先に口を開かない。
ドギョムも椅子に座らない。ガラス越しに、折れた指、支具、灰色の囚人服を順に見る。かつて紙の上で人を動かした手は、もうペンを握るにも時間がかかる。引き金は引けない。無線機も持てない。
「聞くことは」
捜査官が低く言う。
ドギョムはラウクを見る。ミゲルの指。ヘナの火傷。ジョアンの爪。トミーの更生命令書。ロサ・モラレスの葬儀案内。尋ねるべき言葉は山ほどあったはずなのに、どれももうガラスのこちら側へ来ない。
ラウクは最後まで黙っている。取引も、説明も、嘲りもない。ただ、沈黙を自分に残された最後の書類のように抱えている。
ドギョムは手の甲でガラスを一度だけ叩く。
乾いた音が、面会室に短く響く。ラウクのまぶたがわずかに動く。それだけだ。
ドギョムは背を向ける。もう尋ねる言葉も、砕く骨も残っていない。外へ出ると、郡庁舎の会議室から人々の声がまだ漏れている。誰かが窓口の鍵の管理を巡って反論し、誰かが名簿の写しを三部作れと言い、誰かが葬儀の日程を行政の最初の仕事に入れろと求めている。
ドギョムはその声の方へ行かない。
ブラスヒルの次のことは、もうブラスヒルの人間が決める番だった。
法が遅すぎる町で、今日倒すべき悪党を倒す男
114話 空けられた厨房の片隅
次の話