外でパトカーが水たまりを踏む音は、ヘナズ・ダイナーの窓を一度震わせて遠ざかる。
ドギョムは郡保健局文書処理室の端末番号をポケットの奥へ沈め、厨房の灯りが消えるのを待つ。だが、その番号が紙の上でまだ濡れたように光っているころ、保安官事務所の会議室では、別の紙が壁へ広げられている。
カール・ラウクは古い郡地図を外し、新しい地図を貼る。紙は大きい。町の広場、ヘナズ・ダイナー、サンセット・モーター・イン、峡谷迂回路、解体屋、カジノ駐車場北端。すべてが雨に濡れた窓の向こうと同じ灰色で印刷されている。
「押さえろ」
若い代理が端を持ち、もう一人が画鋲を刺す。ラウクは皺ひとつないカーキ色の袖を少しだけまくる。紙を扱う手のたこが、蛍光灯の下で白く見える。
最初の赤いピンは、カジノ駐車場北端に刺さる。ブラスラインの空トラックが見つかった場所だ。
二本目は、峡谷迂回路の排水溝横。三本目は、束ねられた電線の下、折れた街灯の死角。夜間便二号車が停車した二か所。
四本目は、サンセット・モーター・インの外廊下カメラの回収位置。七号室前の泥跡、ノブ、受付の老人が渡した名簿。そのすべてを一つの点にまとめて、ラウクは赤いピンを押し込む。
赤い糸は使わない。必要ない。彼の目には、ピンの間に線がすでに引かれている。
「星形ですね」
若い代理が言う。
ラウクは返事をしない。たしかに形は星に近い。保安官事務所、カジノ裏道、峡谷迂回路、外郭モーテル、解体屋方面。だが一辺が欠けている。誰かが星形を作りながら、わざと一つの線だけを抜いたように見える。
「こいつは輸送路を読んだ。だが全部は読んでいない」
ラウクは地図から離れ、会議室の長机へ戻る。机にはカセットレコーダーが一台置かれている。ミゲルが録ったものと同じ会話が、別の経路でラウクの手にも届いている。保安官事務所は盗み聞きされる町だが、盗み聞きする町でもある。
彼は再生ボタンを押す。
ノイズの奥で、ケイレブ・ドーンの声が割れる。
「俺じゃない。キーを最後に触ったのはサムだ。俺のところへロビーの名前を書いた紙を置いたのは、あいつらだ」
次にロビー・クラインの声がかぶる。
「ふざけるな。お前のライターが俺のガレージにあった。あれを見つけたら、マローンの奴らは俺を撃つ。俺がやるわけないだろ」
サム・ベルはさらに荒い。
「俺の庭からお前のラジオが出たんだぞ。子供が見つけた。子供がだ。箱二つなんか知らねえ。俺じゃない。俺なら自分の家に証拠を置くかよ」
ラウクは表情を変えず、巻き戻す。同じ箇所をもう一度聞く。三人とも、箱二つの紛失を認めている。B-L-17、二十一番箱、輸送キー、換気塔脇の積載場、カジノ駐車場北端。喋ってはいけない単語を、怒りの中で次々落としている。
だが肝心なところで、三人の声は同じ方向を向く。
自分ではない。
それは作った怒りではない。命令で怒っている声ではない。自分が罠に押し込まれ、誰かに首の後ろをつかまれたと本気で思っている声だ。
「三人のうち誰かが盗った可能性は」
若い代理が尋ねる。
ラウクはレコーダーを止める。
「低い」
「でも、証拠は三人の家に」
「置かれている。置いた奴がいる」
ラウクは手の甲のたこを机に二度打ちつける。乾いた音が会議室に落ちる。代理たちの背筋が伸びる。
「外郭モーテルの客室名簿を、一週間分すべて持ってこい。サンセットだけじゃない。閉めた看板を出している場所、週末だけ開ける場所、廃業したふりの場所もだ」
「身分証なしの客は」
「一列に並べろ。日付、部屋番号、支払い方法、受付にいた者。現金のみ、名前なし、領収書なし。全部だ」
若い代理がメモを取る。黒い手袋の指が紙の上で少し滑る。
「受付の老人は?」
「眠らせるな。優しくするな。だが殴るな。あの手の老人は、殴ると本当のことより昔話を始める」
ラウクは立ち上がり、窓の外を見る。雨はまだ細い。保安官事務所前の旗は重く垂れ、街灯の光は水たまりの中で割れている。
「三人が揺れている。そこへ誰かが外側から一拍ずつ石を投げている」
彼は地図へ戻る。カジノ、迂回路、モーテル。ピンは赤い。赤は人を追う色だ。だがラウクの目は、赤い線から少し外れた場所へ向く。
解体屋。
RUFUS AUTO SALVAGEの小さな印字の脇に、鉱山進入路へ続く細い未舗装路がある。まだ赤いピンは刺さない。刺せるだけの報告ではない。
ラウクは机の端の封筒を開く。中には写真が数枚入っている。解体屋脇のぬかるんだ未舗装路。古いタイヤ跡。その横に、新しい軍用ブーツの跡が一つ。深く、重く、つま先がわずかに外を向いている。
ドギョムの特徴表には、軍用ブーツとある。
だが同じ写真の端には、別の足跡もかすかにある。底のパターンが違う。作業靴ではない。代理たちの制式靴でもない。古い軍払い下げの靴底に近いが、サイズが違う。
ラウクはその写真を地図へ刺さない。赤いピンを取らず、封筒ごと机の引き出しを開ける。中には令状申請書、押収リスト、未処理の苦情票が整えて入っている。その奥、ほかの書類と混ざらない隙間へ、写真だけを入れる。
「保安官?」
「まだだ」
ラウクは引き出しを閉める。
「これを見せると、部下は解体屋を見る。解体屋だけを見る。そういう目は使えない」
若い代理は口を閉じる。ラウクは地図へ向き直る。
三人は互いに疑い合っている。箱二つは消えた。輸送キーも消えた。モーテルは洗われる。サンセットの老人は揺さぶられる。峡谷迂回路にはカメラが増える。そこまでは見えている。
だが、ラウクが消さない可能性が一つある。
内部の三人ではない。よそ者一人でもない。誰かが外側で、三人の恐怖をちょうどよく鳴らしている。ケイレブの家へメモを置き、ロビーのガレージへライターを置き、サムの庭へラジオを埋める手。その手は、ドギョムの手より町の戸口を知っている。
「よそ者に協力者がいる」
若い代理が低く言う。
「協力者だけなら、もう捕まえている」
ラウクは淡く言う。
「問題は、協力者が自分の意思で動き始めた場合だ。怯えた住民は隠れる。怒った住民は、余計なところへ火をつける」
会議室の隅で、別の代理が無線を調整する。サンセットへ向かった三号車から、受付の老人を事務所へ連れていくという報告が入る。老人は名簿を出したが、一週間分はないと言っている。カメラは三日前から録画が飛んでいるとも言う。
ラウクは短く息を吐く。
「一週間分はない、か」
彼は赤いピンを一本取る。サンセットの位置へ刺したピンの周囲を、指先で軽く叩く。
「ないものは、誰かが持っていった。持っていったなら、持っていく理由がある」
会議室の空気が重くなる。代理たちは、ラウクが次に誰の名前を出すかを待つ。
ラウクは地図の中央へ歩く。町の中心部。焼けてもいない、まだ灯りの残る通り角。ヘナズ・ダイナーがあるブロック。
そこは赤い線の上ではない。カジノにも、峡谷にも、モーテルにも直接つながらない。だが町の中で、よそ者が最初に水を飲み、少年が弁当箱を持ち込み、ディナがパンを受け取り、老女が書類鞄を持って入る場所だ。
ラウクは赤いピンを戻す。代わりに、箱から黒いピンを一本取り出す。
若い代理が小さく眉を動かす。
「そこは巡回済みです」
「巡回は見たことを報告する。見えないものは報告しない」
ラウクの声は低い。怒ってはいない。もう怒りを使う段階ではない。
黒いピンが、ヘナズ・ダイナーのブロックへまっすぐ刺さる。
ラウクは地図の中央に刺した黒いピンを、もう一度だけ深く押し込む。
赤いピンで囲んだ星形の欠けた一辺が、黒い点から音もなく閉じ始める。
法が遅すぎる町で、今日倒すべき悪党を倒す男
40話 名前を消す夜
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