埃が落ちた瞬間、ドギョムは画面を閉じない。
消せば、次に起動するまでの数秒を失う。今の数秒は、弾倉より重い。彼は左手でノートパソコンの角を押さえ、右手をカウンター内側の鉄板へ添える。頭上の防音材のさらに上、古い屋根の梁を誰かが踏んでいる。
一歩。
間が空く。
もう一歩。
ラウクの部下なら、二人で来る。懐中電灯を先に落とし、床を突く。だが今の足取りは、探す音ではない。重さを殺しすぎている。屋根を横切る者が、下の空洞を聞いている。
ドギョムは息を浅くし、画面の光を胸で隠す。肋骨の痛みが遅れて刺さる。天井の埃がもう一筋落ち、カウンターの上で白い線になる。
足音はボウリングレーンの上では止まらなかった。古い空調ダクトのあたりで一度沈み、やがて雨音の外へ溶けていく。誰かは中を見なかった。ラウクと同じだ。見れば答えが終わる。見ずに、ここへ続く道を覚えた。
『三日じゃない。もう一日もない』
ドギョムはゆっくり息を吐き、画面を起こす。
暗いデスクトップに、PRICE、BRASSLINE、CR-7のフォルダが並ぶ。その横に残った短い名を、彼は初めて開く。
数字。
中には二つしかない。メモ帳のファイルが一つ。もう一つはエクセルファイルで、灰色の小さな錠前の印が付いている。ファイル名はなく、記号のような英数字だけが並んでいた。
先にメモ帳を開く。
白い画面の一行目に、ジョアンの癖のある短い文が出る。
二つ目の写しは、鉱山の埋もれた場所にある
ドギョムの目が一度止まる。
詩ではない。ジョアンは詩を書かない。彼女は、見たもの、聞いたもの、あとで誰かがたどれるものだけを残す。埋もれた場所。坑口ではない。換気塔でもない。星形の中心のさらに下にある何か。
二行目から先は、数字だった。
五桁の数字。日付。空白。五桁の数字。日付。空白。
画面を下へ送ると、同じ形が数百行続いている。最初、ドギョムは輸送番号だと思う。ブラスラインの箱、トラック、積載ロット。B-L-17や二十一番箱と同じ、運ぶ側が使う符号。
だが指が止まる。
同じ数字が一度も出てこない。
トラックなら戻ってくる。荷台は空になり、また積まれ、同じ番号が別の日付に現れる。箱も同じだ。壊れない限り、何度も使われる。輸送番号は循環する。
この数字は循環しない。
一度だけ入って、戻らない。
ドギョムはカウンターの奥に置いたダッフルバッグへ手を伸ばす。救急キットの下、ビニール袋の中から、小さな写真を取り出す。ミゲルの母の写真だ。雨で端が波打ち、笑顔だけが古い光を残している。
裏返す。
五桁の識別番号。日付欄は空白。
彼は画面内検索に番号を打ち込む。キーを押す音さえ大きく感じる。検索結果は一つだけだった。メモ帳の中ほど、同じ番号がそのまま並んでいる。右の欄には、日付らしい数字が途中まで入り、その隣は空白のまそうだ。
死亡ではない。釈放でもない。移送完了でもない。
空白。
ドギョムは画面の列をもう一度見る。五桁の数字の横に、日付が入っている行がある。日付が二つ並ぶ行もある。だが空欄のまま止まっている行は、いくつもある。空欄だけが、妙に広く見える。
アルマの手首を思い出す。郡リハビリセンター地下二階、赤く点滅していた保安ブレスレット。充電台に置かれ、外され、四分余りの猶予を残した輪。そこにも五桁の刻印があった。機械のための数字ではなかった。人を名前で呼ばないための数字だった。
彼はメモ帳の上部へ戻る。
五桁。
日付。
空白。
行の一つ一つが、荷物の履歴ではなく、名前を消された人間の標識になる。ミゲルの母。アルマ。作業場で顔を伏せていた者たち。ジョアンのビラの下に書かれたJR32。掲示板の七枚の紙。ラウクが消した名簿。町長が笑顔で覆った穴。
ドギョムは写真を置く。写真の裏の番号と画面の番号が、古いカウンターの上で向かい合う。
「人だ」
声はほとんど息だった。
ボウリング場の奥で、吊られたピンの一つが風に揺れて小さく鳴る。ドギョムは反射で顔を上げる。さっきの足音は戻ってこない。だが建物が誰かに覚えられたことは変わらない。
彼は再び画面を見る。
数字の列を下へ送る。何百行もの五桁が流れる。どの行にも名前はない。名前の代わりに、管理のための印だけが打たれている。ブラスヒルでは、紙から名前を消すだけでは足りなかった。人の腕にも、死亡欄にも、輸送表にも、同じ体系の標識を打ち込んでいた。
名前を呼ぶ者がいなければ、人は数字になる。
数字になれば、どこへ運んでも荷物と同じだ。
ドギョムの奥歯がかすかに鳴る。怒りではなく、理解が歯の間に挟まる音だった。怒れば動きが荒くなる。今は荒くできない。ラウクは一拍遅れて見ている。その一拍で、開けるものを開けなければならない。
彼はメモ帳を閉じず、横のエクセルファイルを選ぶ。
パスワード要求の小さな窓が出た。
空欄の入力枠。下に、ヒント表示の小さな青い文字。彼が触れる前に、画面の下端へ淡い吹き出しが浮かぶ。
パスワードのヒント:JR32
ドギョムの指が止まる。
同じ文字列。行方不明者ビラの右下に、ジョアンが黒いペンで残した略字。ノートパソコンを開いた鍵。ここでもう一度、彼女は同じ名を使っている。
だが今回は、入口の鍵ではない。
錠前の向こうにあるものの名札だ。
ドギョムはJR32と打ち込もうとして、まだ押さない。メモ帳の一行目が目に戻る。二つ目の写しは、鉱山の埋もれた場所にある。数字は人の標識。空白は、まだどちらにも処理されていない者たち。
もしこのエクセルが、その空白の行に名前を戻す表なら。
もし鉱山の埋もれた場所が、二つ目の写しだけでなく、その人間たちの行き先なら。
そのとき、ノートパソコンの黒い画面枠に、背後の暗闇が薄く映った。
カウンターの向こう、貸し靴棚の間に、さっきまではなかった細い光が一本立っている。
懐中電灯ではない。外の雨も入らない。従業員通路の奥、閉じたはずの非常口の隙間から漏れる、誰かが内側で開けた光だった。
ドギョムはまだ振り向かない。入力欄には空白が残り、ヒントだけが青白く浮かんでいる。
JR32。
ジョアンは、追われる前からこの瞬間を待っていた。
法が遅すぎる町で、今日倒すべき悪党を倒す男
47話 空白の死亡欄
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