塞がれるより先に、ドギョムは水の中で体を反転させる。
格子の向こうで保安官代理の靴が砂利を踏む。金属板を運ぶ音、土嚢を落とす鈍い音。ラウクは中を見ない。見れば、相手がいるかいないかで答えが終わる。塞げば、出てくるか、別の穴を探すしかなくなる。
ドギョムはダッフルバッグを胸に抱え、管の奥へ這う。肋骨が一呼吸ごとに浅く軋む。水は膝まで上がり、コンクリートの継ぎ目に溜まった泥が手のひらを削る。背後で最初の板が格子へ当てられた。
『早い』
いや、早くはない。七号室からここまで、ラウクは読んでいた。読んだ上で、一拍だけ遅れている。
支線は三つあった。北へ行けば洗車場跡の沈んだピット、南へ行けば学校脇の溝、東へ行けば昔の娯楽施設が並ぶ外れの道へ出る。ドギョムは東を選ぶ。水音を大きくしないため、歩幅を狭めた。背後で板を打つ音が二度響き、三度目は土嚢の柔らかい衝撃に変わる。
外へ出たのは、閉鎖されたボウリング場の裏だった。
BRASS HILL LANESのネオンサインは、BとLだけを残して割れている。十年前に閉じた建物は、駐車場の白線を草に食われ、入口のガラスには郡の安全告知と古い誕生日パーティーのポスターが貼りついたままだった。ドギョムは従業員搬入口の下にある錆びた通気口を外し、体を横にして中へ入る。
中は黴(かび)と古い油の匂いがする。埃をかぶったレーンが暗闇の奥へまっすぐ伸び、ピンセッターの機械は口を開けたまま止まっている。貸し靴の棚には赤と青の靴が何十足も並び、革は乾いてひび割れ、靴紐には灰色の綿埃が絡んでいた。天井の防音材が雨音も足音も吸い、外より静かすぎる。
ドギョムはまず出口を数える。正面入口、非常口二つ、裏の搬入口、レーン奥の機械室。次に隠れる場所を選ぶ。カウンター内側の床には、引き抜かれた金庫の跡が四角く残り、下に浅い空洞があった。レジを盗みに来た連中が見たあと、誰も興味を持たない穴だ。そこへ寝袋と救急キット、カセット、缶詰一つを押し込む。
ロッカーの奥にある掃除用具棚を動かすと、幅の狭い従業員通路が出た。壁の向こうはレーン裏へ続いている。身を横にしなければ通れないが、追う側の拳銃はそこでは振りにくい。悪くない。
翌日の夕方、ミゲルが来た。
正面からではない。西側の自転車道を使い、駐車場の奥で一度転び、わざと泥を跳ねさせてから裏口へ回った。弁当箱の底には新しいカセットが一本、紙袋には豆の缶詰と古い電池が二本入っている。
「学校は」
「見られてます。でも、毎日は同じ人じゃないです」
「同じ道を使うな」
「今日は西。明日は川沿い。あさっては教会の裏を通ります」
ミゲルはそう言って、添え木の巻き直された右手を隠すように弁当箱を置く。ドギョムは彼の肩越しに駐車場を見る。尾けられた気配はない。だが尾けられていないことは、安全の証明にはならない。
「ヘナは」
「店を開けてます。客は少ないです。封筒はまだ来てます」
「アルマは」
「寝ています。起きると、入口を見ます」
ドギョムは缶詰を受け取り、カセットだけを抜いた。
「長くいるな」
ミゲルはうなずくが、すぐには動かない。
「排水路、塞がれたって」
「塞がせた」
「え?」
「中を見れば、そこで終わる。塞げば、次を見られる」
ミゲルの顔から血の気が少し引く。ドギョムは説明を足さない。少年は聞きたいことを飲み込み、自転車のペダルへ足をかける。
二日目は、川沿いの道から来た。三日目は、教会裏の細い通りを使った。ミゲルは毎回違う帽子をかぶり、弁当箱の持ち方も変えた。持ってくる物は少ない。カセット一本、缶詰一つ、時々包帯。少なすぎる補給は、かえって続けられる。
三日目の夜、ドギョムはボウリング場のカウンターでカセットを並べる。七号室、排水路、食堂周辺。録音された無線と、ミゲルの走った時刻、ヘナが連絡した時刻、自分が場所を捨てた時刻を鉛筆で床板に書く。
線はすぐに揃った。
廃モーテルには、彼が窓から出て四分後に最初の車が着いている。排水路の入口には、彼が支線へ入って五分後に懐中電灯が向いた。食堂周辺の巡回が濃くなったのは、ヘナの屋根裏から証拠を動かしたあとだった。いつも遅い。だが遅すぎない。
誰かが動線を漏らしているなら正確すぎる。ヘナでもミゲルでもない。彼らの知った時刻より前に、ラウクはすでに外側を閉じている。ではラウクが見落としているのか。違う。見落としにしては、遅れが一定すぎる。
ドギョムは最初のカセットを巻き戻す。ノイズ。雨。若い代理の報告。ラウクの声。
「外郭北側を先に潰す」
その声は七号室を当てているのに、突入を急がせていない。次のテープ。排水路。
「見るな。塞げ」
中にいるかどうかの確認を捨てている。獲物を捕まえる命令ではない。獲物がどこへ逃げるかを見る命令だ。
ドギョムはカセットを止める。古いボウリング場は静まり、遠くで壊れたネオンサインが風に鳴る。彼の中で、町の地図がまた一つ形を変える。ラウクは失敗していない。追跡が遅いのではない。わざと一拍遅れて、ドギョムの選ぶ次の穴、次に頼る人間、次に触る証拠を見ている。
『俺を追っているんじゃない。俺が何に近づくかを追っている』
その理解は、肋骨の痛みより冷たい。
ドギョムは床板の鉛筆線を袖で消す。ここも長くはない。ボウリング場は音を吸うが、出入りした人間の静けさまでは隠せない。三日。長くても四日。ラウクが一拍遅れるなら、その一拍の中で次の答えを開かなければならない。
彼はダッフルバッグの底を開ける。ビニールで二重に包まれた黒いノートパソコンが、救急キットの下から出てくる。ジョアン・リバースが残したもの。PRICE、BRASSLINE、CR-7。町の骨格はそこにあった。だがまだ開いていない場所がある。
バッテリーは弱い。画面が点くまでの数秒が、レーンの奥の闇より長く感じられる。起動音は出ない。ドギョムは音量を最小にし、カウンターの内側へ背を沈めた。
デスクトップが開く。いくつかのフォルダが、暗い画面に青白く並ぶ。その端に、前には読み飛ばした短い名前が残っている。
数字。
ドギョムの指がタッチパッドの上で止まる。捕まる前に解かなければならないものは、まだ町の外ではなく、この画面の中にある。
そのとき、天井の防音材の上で、細い埃が一筋落ちた。
誰かが屋根を踏んだ音はしなかった。音を吸う建物の中で、消されたはずの足音の重さだけが、彼の頭上へ近づいていた。
法が遅すぎる町で、今日倒すべき悪党を倒す男
46話 消された名前の数字標識
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